【毒親】支配教育を受けた子の脳はこうなる【みいちゃんと山田さん】

この記事について

この記事は、亜月ねね先生の漫画
『みいちゃんと山田さん』(講談社・マガジンポケット連載中)
第2巻で描かれている「山田さん」のエピソードに深く感性を打たれ、支配的な教育を受けている・受けた子供が直面する問題を多くの人に知ってもらうために作りました。

原作への敬意と感謝を込めて、
ネタバレを最小限にしつつ考察しています。

原作者:亜月ねね先生 X → [@azuki_nene](https://x.com/azuki_nene)
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Xで連日話題に挙がり議論が巻き起こっている漫画、「みいちゃんと山田さん」。

一つの主人公である山田さんは、幼少期から進路や遊ぶ友達、おもちゃを全て親が決める支配的な教育を受けて育ちました。

私がここで言う「支配教育」とは、親が絶対的な権威を持ち、子供の自主性・自尊生を徹底的に否定する「支配・権威的な教育」のことです。学術的には「権威主義的養育(authoritarian parenting)」と呼ばれ、子供の脳に深刻な影響を及ぼすことが複数の研究で明らかになっています。

作中においてその支配教育を受けた山田さんと私たちの現実世界で起きている「教育虐待」について私の視点、そして当事者であるあなたと一緒にこの問題を考察し紐解きましょう。

目次

山田さんの幼少期

みいちゃんと山田さん 第ニ巻より

山田さんは小さい頃から絵を描くのが好きで、ある日山田さんは母親のために母親が好きな花を一生懸命描いて見せますが、それに対し母親は「机を汚すな」「絵を描いてる暇があるなら勉強しろ」「散らかった道具を誰が片付けるんだ」と言い、山田さんの自主性を徹底的に否定し、「親の言うことは絶対である」「親が嫌いなものは山田さんも嫌いであるべき」と擦り付けました。

山田さんは子供の頃から虐待と定義できるぐらい親に否定されて育ったため、「普通の家庭」や「普通の親」を大学三年生になった今でも認識出来ずにいました。

自分の好きな物に対し罪悪感が付きまとう

前段落で解説した通り、山田さんは親から「親の言うことは絶対である」と擦り付けられ育っています。

これぐらい異常な支配教育を受けた結果、山田さんは大人になった今でも、母親が嫌いと言っていた好きな漫画を買う時や好きな服を買う時、好きなゲームを買う時に「罪悪感」が付きまとうようになり、「自分が好きなものを買うことは許されないことなんじゃないか…」という思考に囚われ自動的に自分を否定してしまうようになってしまいます。

そしてこれぐらい脳に深刻な影響が出ていると「何を買うのが正解なのか、何をするのが正解なのか」自分で一生答えを見つけられなくなってしまうのです。

今日何を食べるのか、誰と付き合うのか、人生さえもどこに正解があるのかと永遠に彷徨うことになってしまう。

この呪いを解くためには、もう一度自分を教育し直さなければならない。

『私が好きなものは好きでいていい』

『私が選んだことは間違っていない』

『私には私の価値観がある』

自分という存在を確立するために。植え付けられた罪悪感から解放されるために。

現実で発生した支配教育を施した母親への報復:殺人事件

事件の性質上、非常に重く残酷な内容ですのでご注意ください。

2018年、滋賀県守山市で起きた通称『滋賀医科大学生母親殺害事件』について解説します。

事件概要
  • 加害者:桐生のぞみ 当時滋賀医科大学医学部看護学科の学生
  • 被害者:加害者の母親
  • 発生日時:2018年1月20日

この事件は支配教育(教育虐待)の影響により発生しました。

加害者は母親から『国立大医学部に入学・医者になる』ことを強要され自主性を徹底的に否定されていました。

「医者になれなけば価値がない」と加害者の進路を認めずLINEやメールで常日頃監視・叱責。

成績不振時には殴られたりするなど身体的暴力も受けており、事実上「勉強以外に選択肢がない状態」に置かれうつ病・PTSDを発症。

経済的、社会的にも追い詰められホームセンターで道具を購入し母親に手をかける。

この事件は当時、国内で非常に大きな衝撃を与えました。

“熱心な教育と支配的教育(教育虐待)の境界線”や”教育とは何か見つめ直すべき”と本格的に議論が巻き起こりました。

この事件が発生して7年たった今でも同じ苦しみを抱えている人が沢山います。

この悲劇を繰り返さないために私たちが今すべきことを考え、行動に移すべきだと私は考えます。

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